小説「贖罪」
作:湊かなえ
記念すべき第1回目の投稿の作品は、「告白」等で有名な湊かなえさんの小説「贖罪」。
何でこの小説か?ただ最近読んだからです。ただ、私は個人的に、湊かなえさんの作品が好きです。
この小説の感想を書く前に、このブログを読んでくださっている方、
この小説は、人によっては気分が悪くなるような小説であり、この感想もまた、
気分が悪くなるような内容になるかもしれません。
登場人物が幸せになるような話が好きな方は、ここから先は読まないでください。
猟奇的、狂気的な話が好きな方、あるいは、耐性のある方のみ、ここから先を読んでください。
それではいきます。
この小説は、ある田舎町で起こった、少女強姦殺人事件を起点に、殺害された少女と直前まで遊んでい
た4人の少女と、殺害された少女の母親の、その後の歪な関係を描いた物語です。
残された4人の少女が13歳になったとき、殺された少女の母親が、4人の少女に向かって、
「殺されたのはあんたらのせいだ!贖罪せい!」
的なことを言ったことから、そのことがその後の4人の人生に大きく影響していき、そして成長した4人
の少女たち(女性たち)の身に起きた出来事を、一人一人の独白スタイルで、話が章立てで進んで行
く、という物語です。
一応書いておきますが、ミステリーです。犯人などが出てきますが、詳細は読んでください。
この物語は、湊かなえさんが得意(と私が勝手に思っている)としている、母と娘との関係性や、
田舎町特有の閉鎖的な慣習や文化がふんだんに盛り込まれた作品ではないかと思います。
そして何より、「これ、ブラックジョーク?」と判断に迷うような、世の中を斜めから見たような
視点というか、並みの人が目をそむけたくなるような内容がふんだんに盛り込まれています。
猟奇的、というのとは少し違いますね。なんというか、人の内面をえぐるような作品です。
「人って、こういうとこあるよね」読んだ方は、そんな感想を持つのではないでしょうか。
「Nのために」という同じ作者の作品は、やさしさで書かれていたような気がしますが、
この小説はどちらかと言えば、ちょっと作者的意地悪な視点で描かれている、そんな気がします。
湊かなえさん小説が好きな方は、「往復書簡」と「母性」を足して2で割った作品、と言えば、
わかってもらえるでしょうか。その前に、湊かなえさんが好きな方は、とっくに読んでいるか。
こんな文章でこの小説に興味を持ってもらえたかどうかは、いささか不安がありますが、
第1回ブログ、ということで、何卒容赦ください。
では書店にて、ぜひ手を取って読んでみてください。
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